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[掌編]私の大嫌いな貴方へ。

2013.02.24 Sun [Edit]

friends
friends / haley7



「だから、私は、貴方が大嫌いなのよ」

にっこりと、この上なく最高の笑顔を浮かべる。
照れたように、私に言葉を告げていた彼に、私はぶつけるようにこの言葉を告げた。

目の前で、目を見開いて、驚きのまま表情を固まらせている貴方に、笑みが深まる。

傷つけばいい。
どこまでも、深く、深く、傷ついてしまえばいい。

私の気持ちを、思い知ればいい、と、そう、強く願った。







都合のいい女、という言葉がある。
実質、彼にとっての私は、ある意味、都合のイイ女だったのかもしれない。
高校時代に知り合い、気心の知れた気のおけない「友人」として、ずっと近くにいた。
男女の友情なんて、と、彼の恋人となった数々の女性からは、いろんな攻撃もあったけれど、彼が「友だちだろ!」と微笑むから、とりあえず私は、それに巻き込まれながらも、彼のそばにいた。

気があう、というのは、本当だった。
本の好み、映画の好み、食べ物の好みが、近いというのがこれほど楽だとは思わなかった。
価値観も、近いといえば近かったのだろう。ある一部を除いて、彼と私の感性は、よく似ていた。

その一部のせいで、私は彼の「恋人」たちから攻撃を受けることになったわけだけれど、それでも、最初は、そうでもなかった。

男女として一線を超えることはないものの、男女の「友人」としては、「恋人」並の頻度で彼と会うことが多かった。

大学も同じ大学の同じ学部と、更にはそれぞれ一人暮らしを始めたアパートも近場、ということもあって、食事をうちで食べていくことも多々会ったし、困ったときには洗濯なども頼まれた。
それって友人のわくに含まれることか? と、首を捻りはしたものの、頼むよといわれれば、こちらとしても引き受けてしまう。

彼と私は、間違い無く友人で、それ以外のなにものでもなかったけれど。

彼にとって、私は「気心のしれた友人」だったのだろうけれど。

実は、ひっそりと、最初に出会った頃から、彼を男として意識してきた私にしてみれば、彼からの頼みを断れないのは、惚れた弱み、というやつだったのかもしれない。


高校時代、彼女たちの攻撃を甘んじて受けたのは、彼女らの言い分に一理ある、と感じたからだ。
友人、という枠組みで、時折彼女たちよりも優先される自分に、優越感を感じていなかった、といえば嘘になる。
彼女たちとは違う立ち位置で、だけれども、彼女よりも大事にされていた、のは、おそらく勘違いではないと思う。
だから、もしかすると彼女たちは、それをどこかで感じ取っていたのかもしれない。

だから、それを、私に攻撃という形で、ぶつけてきていたのかもしれない。

だけど。
そう、けれど、彼にとっては私は「友人」。
洗濯ができて家事ができて、気心がしれて気を使わなくて良くて、楽ちんな、友人。

そこから脱せない私は、他の女性のヤッカミを受けることで、微かに優越感を得ることで、自分の心を守っていたのかもしれない。

私は、彼の友人だから。
愛とか恋とか関係ない、別のところにいるんだ、と。

ずっと、彼に彼女が出来ても、関係は変わらなかったから。
すっとこのまま、この位置に要られるんだ、と、思っていたのに。

ある日、彼女が出来たと、いつものように彼がいって、またいつものようになるのだろうと思っていたのに。
彼女が、いつになく激しい嫉妬を、彼にぶつけたらしく、いつもどおりの頻度では、無くなった。
少しずつ、距離を置かれる状態に、私は、ああ、ついにこんな日が来たのか、と、悟る。
いつまでも、「友人」の位置に、異性をおいておけるなんて、それは難しいことだと、私だってわかっていたから。

だから、諦めた。
諦めた、というよりも、仕方がないこと、と、割り切ることにした。
結構長くなった片思いを、終わらせて次に繋げる、いい機会だ、と、そう思ったから。

――それなのに。

彼女と別れた、と、彼が言った。

お前と離れるのは、苦痛だった、と、彼がいった。

なあ、お前となら付き合える気がする。長く、ずっと、と、彼がいった。


だから。

私は、微笑んだ。

「だから、私は、貴方が大嫌いなのよ」

にっこりと、この上なく最高の笑顔を浮かべる。
照れたように、私に言葉を告げていた彼に、私はぶつけるようにこの言葉を告げた。

目の前で、目を見開いて、驚きのまま表情を固まらせている貴方に、笑みが深まる。

「――そんな、だって、お前はずっと、俺の、大事な、気心のしれた、親友で」

あえぐように言葉を紡ぐ彼に、首を振る。

「貴方はそう思っていたとしても、私がそう思っていたとなぜいえるの? 」

ひゅ、と息を飲む彼に、ふ、と、ひとつ息を漏らして、私は立ち上がる。

「――ま、って」

引きとめようとする彼に、私は、ただ笑って。

「さよなら」

振り返らずに、その場をあとにする。


――好きの反対は、無関心。

ずっと。そう、高校時代からずっと、彼のそばにいた。友人として、けれど、いつかは彼が振り向いてくれるんじゃないかって、それなりに自分を磨き、努力をしてきた。
けれど、ずっと、私は友人のまま。

やっと離れられると思ったのに、振られたからと、挙句、ちょうどいいと言わんばかりに、いまさら、そう、いまさら付きあおう、だなんて。

バカにしてるにも、程がある。

――大嫌い。

そう、忘れられないほどに。無関心になれないほどに、貴方のことが、大嫌い。

じわりと滲む涙を、振り払うと、私は、背筋を伸ばして歩き出す。


私の大嫌いな貴方へ。

ずっと好きでした、と、胸の中で呟きながら。

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