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[掌編]自業自得の喪失。

2013.02.19 Tue [Edit]

My Time Has Come
My Time Has Come / XOZ ~ 96 Rhinos Killed in 2013



夢を追いかけ続けて、走り続けて、そしてたどり着ける場所はどこなのだろう。
夢を叶えたはじめの、その瞬間、夢は消え去ってしまい、僕は、道の先を見失う。

本当は、その叶えたあとからが本当の勝負だったというのに、僕は、夢を叶えたその事実に、燃え上がるような充実感と、そして、果てしない喪失感を感じてしまったのだ。

だから、誰が悪いわけじゃない。

僕が、彼女を失ったのは、当たり前の、そうなって仕方がない、現実。




彼女は、幼馴染だった。
少々体の強くない彼女は、いつもふんわりと笑っているような少女だった。
公園で出会って、一目惚れした幼児の頃。体の弱さゆえに幼稚園にも通えなかった彼女のために、家に帰ったあとしょっちゅう遊びに行ったのは、懐かしい思い出だ。
小学校はなんとか進学できたものの、休みがちな彼女のために、せっせとプリントを届け、ノートを届け、友だちとの約束などそっちのけで、彼女のもとに通った。
ほんのりと笑う彼女が好きで、いつか、大きくなったら、彼女を守るのだと、最初に抱いたのはそんな夢だった。

次第に大きくなるに従って、そんな関係は、周囲のからかいのたねになる。

それでも懲りずに追いかける僕に、彼女のほうが恥ずかしがって少し距離を置かれることとなったが、それでも、ひっそりと彼女との交流を続けた。

両家族両親公認の仲、とも、ある意味いえるかもしれない。

ある日のこと、彼女の父親に、真面目な顔で告げられた。

彼女を守るには、しっかりとした仕事について、しっかりと稼がなければならない、と。

いま思えば、小学生にわかりやすく、甲斐性のある男になれといったつもりなのだろうが、僕は単純にそれが、夢となった。

しっかりとした仕事につき、しっかりと働いて稼ぐ。

そのために、僕は必死で勉強した。

幸い、両親も応援してくれたので、彼女の体を治すことができればという気持ちもあって、選択肢は医師一択だった。


そのために、少しくらい彼女に会えなくてもいい、と、思ってた。

だって、将来彼女を守るためなのだから、と。

必死で勉強して、必死で走り続けて。

大学は、上京して一人暮らしをしながら生活した。

毎日勉強と、少々のアルバイトで、日々が過ぎていく。
ほとんどアルバイトなんてする暇もないほどだったけれど、たまに送るメールや電話が、とても心強くいとしかった。
明るい声が聞こえて、昔に比べたらだいぶ丈夫になった彼女の元気そうな様子に、ほっとしつつ、恋心を募らせた。

そう。

恋心。

両親公認、だなんて、いってはいたけれど。
僕は彼女に告白すらしていなかった。
彼女と僕は、ずっと、ただの幼馴染だったんだ。

6年を過ぎ、国家試験に合格した時、僕は、まずほっとした。
彼女に告白しなければ、と、思う反面、まだ彼女を養えるほど稼げるわけじゃない。

あと少し、あと少し足場さえ固められれば、と、何も言わずに仕事を始めた数年。

どこかで、その時、僕は既に夢を叶えた気分になってしまっていたのだろう。
どこかで、気が抜けてしまっていたのかも、しれない。


その数年が、取り返しの付かないことになるなんて、誰が思うだろう。

僕は彼女が好きだった。
そして、彼女の好意を、感じてもいた。

僕はその好意を恋情だと、疑いもしなかった。

それが間違いだとわかったのは、ある日かかってきた、彼女からの明るい声の電話だった。

『あのね、プロポーズされたの!』

弾けるように明るい声で、そう告げられて、僕の頭は真っ白になる。

誰が? 誰に? と思うまもなく、弾けるような明るい声のまま、語られる彼女のノロケ話に、相槌を打つ。

どうして? と思う反面、けれど、思えば付きあおう、とも、愛してるとも伝えていない僕に、何かいう資格など、何もなかった。

おめでとう、と、告げた声に、嬉しそうに、ありがとう、ずっとお兄ちゃんでいてね、と、返されたとき、僕は、震えず返事を返せただろうか。


その後、母からの電話で、僕が全く彼女に対してアクションを起こさないことから、両家の両親の間では、恋情ではなかったんだろうと判断されていたのだと理解した。

よかったわよねぇ、と、明るくほのぼのと笑う母が、憎らしくさえ思えたけれど、ああそうだね、と、返すことしか出来なかった。


電話を切り、ひとり部屋の中、天井を見上げる。

僕が失ったものは、なんなのだろうか。


あまりといえばあまりの顛末に、僕はただ、唇を歪めるように笑うことしか出来なかった。


涙すら、流さずに。

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