[掌編]今日も、明日も、明後日も。
2013.02.10 Sun [Edit]
Charlotte in the Window with the Morning Sun / aturkus
朝日が昇る。
東向きの窓からは、さんさんと朝日が差し込んでくる。
なんで朝日はさんさんっていうのだろう。
どうでもいいことを思いながら、ベッドの上で身を起こし、窓の外を眺める。
東側の窓は朝日が差し込むから好きだなぁと、ぼんやりと思う。
おかげで、起床時間はイコール、日の出の時刻前後になった。
それがいいのか悪いのか。季節によって変わるのが我ながら面白い。
ああ。
今日もいい天気だ。
朝日を浴びて、しばしぼんやりと過ごす。
これぞ光合成。人間、やっぱり日光を浴びるべきだなぁと、考える。
日光を浴びたら、確かなんかよかったはず。日焼けやシミはお断りだけれど、なんかいいものができるなら歓迎だ。
何を考えてるんだか自分でもわからなくなりつつ、もそもそとベッドから降りて、電気ケトルとコーヒーを仕掛けてから、洗顔お手洗いタイムである。
もそもそと洗顔を済ませたら、さっくりと着替えて、スキンケアである。
外に出ない私のスキンケアなんぞ、化粧水にお粉、それもペビーパウダーで十分だ。ニベアとペビーパウダーがいいらしいけど、日中は日焼けが怖いから、化粧水と乳液が合体したやつにベビーパウダーで。女捨ててる? うん、否定できない。
さっくり済ませたら、コーヒーとパンで朝ご飯。もそもそ食べたら、今日の予定を確認する。
出かける予定、無し。
基本、出かける予定がある日はめったにないから、いつもの通りということか。
家事をある程度さくさくすませたら、さて、とPCの前に向かう。
仕事用のPC。さっくりと接続設定を済ませたら、上司に連絡を入れて、仕事開始。
とはいえ、在宅コールセンターのお仕事は、そこまで忙しくない。
ありがたいことに、割と暇な部署に回してもらえてるので、余計にかもしれない。
稼ぎもいいとはいえないけれど、外に出たくない上に特別なスキルを持ってるわけじゃない私としては、ありがたい限りである。うむ。
お昼ごろにメッセージを飛ばして休憩タイム。
なにたべようかなぁ、と、冷蔵庫をのぞくと、焼きそば発見。野菜の切れ端と、それをざかざか炒めて食べたら、ひとやすみ。そのあと、また、PCに向かう。
一日4時間くらいのおしごと。通勤がない分、なかなか楽なお仕事です。もちろん、別な部分で神経は使うけれどね。
仕事を終えたら、お風呂を沸かして、先に入る。夕暮れの時間に入るお風呂は、最高だと思う。
夜のお風呂もいいけれど、まだ人様が仕事をしている時間のお風呂って最高。うん、私酷い。
上がったらスキンケア済ませて、晩の用意。携帯にメールがきてたから、二人分を用意しておく。
そうすると、出来上がるころには、私が一人で住んでる2DKのアパートの玄関のチャイムがなって、のそのそと一日分の疲れを溜め込んだ彼が、家の中にはいってくる。
「おかえりー」
「ただいまぁ」
当たり前の言葉が、嬉しいのはなんでだろう。あ、今日仕事以外でしゃべったの、初めてだわ。
近くの仕事場に勤務してる彼は、週に3回、場合によっては毎日、我が家にやってくる。
のそのそと帰ってきて、一緒にご飯を食べ、稀にお風呂も入って自分の家に帰っていく彼のおかげで、乏しいお給料でも食費が賄えてたりする。
食費を入れてくれるのはありがたいことです、と、拝めば不思議そうな顔をされた。
「今日は、外に出た?」
「んにゃ、いつも通り」
もぐもぐ、と、簡単に用意した和食な晩御飯を食べ勧めながら答えれば、彼がわずかにため息を漏らす。
うん、ごめんね、お外嫌いなんだ。ずっとおうちにいられるならそれがいいんだ、と、にへら、と、笑ってごまかせば、彼も仕方がないな、という雰囲気で笑ってくれる。
いい時代だと思う。
食糧だってなんだって、すべて配達で済んでしまう。
振込だってなんだって、すべてネット上で手配がすんでしまう。
彼も、いろいろ思うところはあるんだろうけれど、何も言わない。
前の彼は、外に出ろよってうるさかった。むしろ外に無理やり連れだそうとした。
それに比べれば、口に出さないでいてくれるだけ御の字。それに、心配してくれてるのはわかるしね。
いつか外に出れたらいいなぁ、と、思いもする。
でも、そとはなんだか好きじゃないから、家の中がいい。
許されるのならずっと、ここにいたいけれど、そうもいかないのは、私もわかってる。つもり。
今日はお風呂に入らないで帰るらしい彼を見送って、手を振る。
そして、私は片付けをすませたら、さっくりとベッドの中へ。
カーテンは、薄い光をいっぱいとおす素材で。遮光カーテンは、好きじゃないから。
そして、今日もひとり、ベッドで眠る。
また、再び朝日で目覚めるときまで。
今日も、明日も、明後日も。
私はこの部屋で目覚めて、この部屋で眠る。
いつか、何かが変わる時まで、いいえ、いつか、私が変わる時まで、ずっと。
今日も、明日も、明後日も。
朝日で目覚める朝を待ちわびて、静かに夜を過ごすのだった。
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