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[掌編]それでも、君が好きだから。

2013.02.03 Sun [Edit]

sun lover
sun lover / Muffet




「大事な親友だから!」

そういって、君は、いつも嬉しそうに笑うから。
何も後ろ暗いことなんてない、と、笑顔を振りまくから。

だから、僕は、きっと。

ずっと、親友のまま、そうだね、と、君に笑い返し続けるだろう。


誰よりも愛しい、君のために。




「馬鹿、だな」

しかめっ面して、苦々しい笑顔で。
もう一人、僕にとっては本当の意味で親友と思える男が呆れたように溜息をついた。

僕は肩をすくめるだけで、何も言わない。

放課後の教室は、もう誰もいない。

そう。僕を親友だと笑う、彼女も、もういない。

「男女間の友情はありうるか否か」

芝居がかった仕草で、ブレザーが窮屈そうな、成長期著しい親友殿は、指を振る。

「さあね。そんなこと、どうでもいいんだけど」

そう、どうでもいいんだ。あろうがなかろうが。何処かにはあるかもしれない。誰かの間にはあるかもしれない。

けれど。

少なくとも、彼女と僕の間にはありえない、というそれだけのことで。

少なくとも、僕が彼女を友人として、友愛だけを持ち続けるのは、難しい、というだけで。

彼女にとっては、僕は親友。疑いようもない、恋愛感情の入る隙間などない、関係。

それがたとえ、彼女の幻想だったとしても。


「いいように使われてるだけ、って、いい加減わかってんだろうに」

彼女にそんなつもりはないよ、と、口にしようとして、彼をみて続きの言葉を飲み込む。

呆れたような。怒ったような。けれど、心配しているような。

ああ、こいつは、ぶっきらぼうだけど優しい男だった。

親友だと思ってる男が、いいように使われてるようにみえていたら、納得出来ない様な。

だから。

「ああ、そうかもしれない。でも」

言葉の続きを、さらわれる。

「それでも、彼女のことが好きだ、ってか」


答えは返さずに、静かに笑った。



彼女との付き合いは、小学校時代に遡る。

男も女もない、ただ友達、だった頃。その頃から、活発な彼女と、その後ろをついて回る僕、という構図はできあがった。
高学年で思春期に入り始めても、彼女は僕から離れなかった。
気まずくて距離を取ろうとした僕を、力づくで止めたのは彼女。

”しんゆうだろ!”

その一言で、彼女はすべてを切って捨てた。

付き合ってるじゃないかとか、からかわれたり。中学に入ってからは、微妙に先輩らからのからかいや、いじめ寸前の行動もあった。

彼女はそれらに、まっすぐに顔を上げて立ち向かい、僕はただ、静かに受け流した。

その頃には、僕は彼女のことを好きだ、と、気づいていたけれど。

でも。

”なんでもかんでも恋愛恋愛って、そんなんじゃないのにね。やだねぇ、げすのかんぐりってやつ?”

そういってからからと笑う彼女に、ただ、そうだね、と、笑い返していた。

高校も同じ所。けれど、ここで彼女が恋に目覚める。

かっこいい先輩。情報を知りたがる彼女に、そっと橋渡しをしたのは僕。

ああ、なんて自虐的。けれど、彼女はさすが親友! と喜んだ。

僕の親友な彼と、彼女のそばにいる女の子の親友が呆れているのには気づかないふり。

彼女は、素で気づかない。

先輩はさすがに、男女の友情というのを信じられない人種らしく、さんざん僕のことを色々言ったらしい。

最初は距離を微妙に撮っていた僕と彼女だけれど、彼女の方が納得しなかった。

”親友なのに、おかしい!” と。

そして、彼女は別れた。結構酷い振られ方だったらしくて、落ち込んだ彼女を慰めたのは僕。

君がいてよかった、と、言われて、胸が音を立てたけれど、ただ、それだけ。

彼女はまた、新しい恋に驀進し、そして、振られて。

そしてまた、新しい恋へと突き進む。

「――すんごいバイタリティな」

非難するでもなく、割りと素直に感心した口調の、言葉に、僕はただ笑うしか出来ない。

ほんの少し、僕をみてくれないだろうか、と、まるでオトメのようなことを考えもしたけれど、彼女はまったく、こちらを見ない。

なんて不毛。なんて不健康。

それでも。

僕は、彼女が好きで。どんな形でも彼女のそばにいられるならば、それが幸せで。

たった五文字。

きみがすき、と、それを伝えて、そばにいられなくなるくらいならば、今のままのほうがいいと、そう思ってしまうから。

「ほんと、お前って都合のいい男な」

その通り。呆れたようにいうかれに、頷くしかない、僕だった。



「大事な親友だから!」

そういって、君は、いつも嬉しそうに笑うから。
何も後ろ暗いことなんてない、と、笑顔を振りまくから。

だから、僕は、きっと。

ずっと、親友のまま、そうだね、と、君に笑い返し続けるだろう。


誰よりも愛しい、君のために。


たとえ、ずっと振り向いてもらえなくても。
たとえ、彼女が誰かと結婚し、会えなくなっても。

それでも。

それでも、僕は、ずっと、君が好きだから。


どこかいびつな、後ろ暗い感情を隠して、僕は彼女に笑いかける。

すべての恋心を覆い隠して、ただ、静かな笑顔のままで。

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