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[掌編]もいちど、ノックを三回

2013.01.26 Sat [Edit]

Knock, Knock
Knock, Knock / skatoolaki



ニコニコと、男が笑っている。

目の前には、大量の野菜。

――ええ、これをどうしろっていうんですかっ?


ノックを三回、そして二回、最後に三回。

そうしてたどり着ける世界で、ひっそりと過ごしてはや数年。

平穏だったはずなのに、あるとき現れた男に水を求められ、慌てて逃げた半年前。

恐る恐るまたここに来ては見たものの、男にビビって泣いたのは、うん、かなり不覚。

しょうがないじゃん。パニックになると涙出るんだもん。

日常生活じゃ、それなりに何とか、その癖を押し隠して生きてるけれども。

知らない世界で、しかも安全だと思ってた場所に知らない、しかも男が現れたら、さすがにパニックになるってもんですよ!

泣いて泣いて、泣いて。でも、そのうち落ち着いて、そしたら、めっちゃ恥ずかしくなって、逃げ帰ろうとしたけど、男が引き止めるから、超引き留めるから、とりあえず待機。

でも。

なんていうか、怖い。いや、顔は優しい感じなんだよ。目とかも。でもね、でっかいんだ、この人。超でかい。ついでに、なんかもさもさしてる。髪とか髭とか。もさもさ。くまさんかよ! って感じの、がっしり体型。顔はそれなりに整ってるから美形の枠にはいりそうなんだけども、ぶっちゃけむさい。怖い。

びくびくしてたら、男は、そっと一度外に出ていって、それから何かをいっぱい抱えてきた。

そこには、大量の野菜。野菜。ちょびっと肉。

え、ナニコレ。とか、思ってると、男はニコニコ、ニコニコ笑って。


「勝手ながら、周囲を開墾させてもらった。立派な野菜がとれたよ」

――な、なんですって!?

慌てて外へでると、なんと、周囲は見事な畑が広がっていて。

呆然と見つめる私に、こっち、と何やら男が促すからそちらを見れば、家畜小屋? まであるではないですか。

え。どゆこと。

野菜があるってことは、タネは? え? 家畜ってそこら辺にいるの?

わからなくておろおろしてたら、男がニッコリ笑っていった。

「すむところがなかったもんで、勝手に住まわせてもらった」

……先生、訳がわかりません。


部屋に戻って、テーブルについて。

男が設置したらしき、薪ストーブ? 薪コンロ?で、コトコト煮えるスープの音をBGMに、話を聞いた。


男は、傭兵さん? だったらしい。
んでまぁ、戦争にでてたらしい。てか、戦争とかしてたんだ、この世界。

んで、まぁ、戦争を終えて帰ってきたら、まるっと村がなかった、と。

茫然自失。誰も知り合いがいない、しかも住んでた家もない状態で、これはまいった、と、町に戻ろうとしたところに、途中にある森に分け入って迷子、食料が乏しくなり水がなくなった所で、やっと森を抜けたら、今度は大草原。

やばいと思いつつも、太陽を頼りに歩いていたら、草原にぽつん、と、立つこの家を見つけて、以下略。

水。

500mlしか置いて行かなかったはず、と、首を傾げれば、男はちょっと気まずそうに視線を逸らして。

「ストックしてあったらしき、不思議な食べ物を、少々……いや、結構、頂いた。すまん」

がばり、と、頭を下げた。

え。

がたん、と勢い良く立ち上がり、部屋の奥、食料ストックをおいておいた場所へ走る。

扉を勢い良く開け、ストックしておいたはずの箱を開ければ、がらん、としていて。
一ヶ所に、なんだかずたずたになった外装やらなにやらが、きちんと纏めてあって。

え、ええええ。

ま、まあ、食料っていっても? 実はお菓子中心だったんだけども。

ポテチとか、チョコとか、そんなのメインで飲み物が少々かな。

ぎぎぎ、と、振り返れば、背後には申し訳無さそうな男の姿。

「いや、申し訳ない。だが、とてもうまかった。それに、少しの量でも、体に力が湧き上がる。お陰で無事命がつなげた。アレはなんと不思議な食べ物なんだ。」

キラキラと、目が輝いていませんか。くまさん。

確かに、チョコとか、ポテチとか、ダイエットの敵! って位、栄養価は高い。バランスは別だけど。

ふう、と、ため息を付けば、申し訳なさそうに男があわあわする。

「す、すまん、だが、これのお陰で助かった。お陰で、町まで戻る体力を取り戻せたゆえ、急ぎ街まで行って、変わりにお詫びとなるかはわからんが、この周辺の開墾と、家畜を用意したんだが……勝手に住み着いてすまん」

しょぼーん、と、項垂れる男をみつつ、けど、どこかで不思議だった。

私は、この世界の人間じゃないし、だから偏見かもしれないけれど。

何をこの人、こんなに謝ってるんだろう、と。

もっとこう、シビアな世界なんじゃないかな、と、想像してた。だから、命の危険があるかも、って、最初は逃げたんだし、その行動自体は私、間違ってはいなかったと、思ってる。

でも、そんなにシビアじゃない。のかな? それとも、この人が特別?

だって、お腹が空いてて住むところがないわけで、しかもこんな、誰もいない様な草原の真ん中の小屋、いたのは私みたいな小娘だったら、追いだそうとか、そうでなくても言いくるめようとか、色々出来ると思うのに。

そう思うと、ちょっとおかしくなった。

思わず、小さく笑うと、大きな体を気まずげに縮めていた男が、おずおずと視線をこちらに向けた。

その仕草がとてもかわいいような気がして、さらにそっと私は笑う。

「いいですよ。食べられちゃったのは残念だけど、でも、貴方の命が助かったなら、よかった」

そういって笑えば、男も釣られるようにそっと笑う。

じゃあ、と、テーブルに戻り、出来上がったらしきスープは、素朴な味で、少し薄味で、でも、とても美味しかった。


お互いに自己紹介でも、と、語り合って。

男から見れば不思議らしい衣装と、髪と目の色の取り合わせに突っ込まれるまで、あと5秒。

異世界人です、と、なのった私に、男が驚愕するまで、あと……何秒?

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