[物語]5/1~5/10頃までに呟いたtwnovelまとめ
2012.05.29 Tue [Edit]
5/1~5/10に呟いた140文字弱のtwnovelのまとめです。
5月1日
愚かだったのです。私が愚かだったのです。それでも恋い慕う思いをどうすればよいのでしょうか。豪奢な部屋と地位を与えられ傅かれる生活であっても、愛はそこにないのです。幸せとはなんなのでしょう。――残された日記に書かれた文字は、涙に濡れて滲んでいた。有る後宮での物語。 #twnovel
5月2日
「もう、忘れたわ」そういって微笑む貴方の笑顔が、あまりにも穏やかで、すべてを忘れて見惚れた。それに気づいたのか、彼女は、困ったような苦笑いを浮かべた。瞳の奥で揺らぐ感情。そして、思い知る。――僕の罪は、永遠に許されることがないのだ、と。 #twnovel
5月3日
遊園地に行きたいと急にいう。いつにしようかと聞けば、途端に泣き崩れる。何事か、と、問えば、行ったことがない、という。そういえばデートでも行ったことはない。結婚して数ヶ月。一緒にあちこち行こうと云えば、彼女は泣きながら頷き、そっと、子供ができたと教えてくれた。 #twnovel
5月4日
かかってきた電話に驚く。思わず取り落としそうになりながらも、聞こえる声に間違いないのだと、慌てて握りなおす。どうしよう、とそればかりが浮かぶけど深呼吸する。電話口では、心配そうな彼の声。だから、必死で答える。声が聞けて嬉しい、と。告げた言葉はかすれて震えた。 #twnovel
5月5日
「じゃあ、君はなんで書くのさ」ノートから目を上げて、睨みつけるようにこちらを見てくる彼女に、やっとこちらに目を向けてくれたと嬉しくなる。本が好きで小説を書くのが好きで、同じような場所にいてけれど、僕を見てくれなかった君。「好きだから、だよ」ただ、それだけなんだ。 #twnovel
5月6日
月が満ちた日、すべてが始まるのだとセーラー服の彼女は笑っていた。夢物語のようなそれを、笑い飛ばして彼女を妻とし生きてきた日々。満月のたびに空を見上げる君に、かぐや姫かと笑いかければ、哀しい笑みを浮かべるばかりで。――満月を見上げながら、消えた彼女を想う夜。 #twnovel
5月7日
#twnovel 焚き染められた香がふわりと御簾の向こうから漂う。衣擦れの音と共にその人の存在が思われて、御簾のうちに踏み入りたい思いを押しこめる。「余りにも冷たい。せめてお声だけでも」許されぬと知りながらも止められぬ思いを隔てるのは、目の前の御簾のみ。踏み出せば、破滅への道。
5月8日
#twnovel あの人は私を想い、この人はあの人を想う。私はかの人を想い、かの人はこの人を想う。複雑に絡み合う恋心は、解くことが出来ないほどもつれてしまった。縦糸横糸、綺麗に並んでさえいれば美しい織物にも例えられただろうに。ここにあるのは複雑な悲しみと醜い嫉妬の織り模様だけ。
5月9日
#twnovel 自転車で必死に上り坂を登る。待ち合わせ場所まであと少し。登り切ったところで彼女が待っている。怒ってるだろうか。呆れてるだろうか。時間はもう、過ぎていて。ただ僕は、必死に自転車をこぐしかない。後少し。後少し。坂を登り切って、見えてきたのは赤い屋根の家。そして――。
5月10日
#twnovel 吹く風が心地よい。となりで、うん、と背伸びをした彼女の髪が、風にゆれて青空に白いワンピースが映える。「もうすぐ、夏がくるね」「でも、その前に梅雨だよ」彼女が笑う。「雨も素敵。長靴と傘。雨にぬれるのも、楽しいじゃない」弾むような声が愛しく思えたある初夏の思い出。
Girl Holding Book Looking Out Window free creative commons / Pink Sherbet Photography
5月1日
愚かだったのです。私が愚かだったのです。それでも恋い慕う思いをどうすればよいのでしょうか。豪奢な部屋と地位を与えられ傅かれる生活であっても、愛はそこにないのです。幸せとはなんなのでしょう。――残された日記に書かれた文字は、涙に濡れて滲んでいた。有る後宮での物語。 #twnovel
5月2日
「もう、忘れたわ」そういって微笑む貴方の笑顔が、あまりにも穏やかで、すべてを忘れて見惚れた。それに気づいたのか、彼女は、困ったような苦笑いを浮かべた。瞳の奥で揺らぐ感情。そして、思い知る。――僕の罪は、永遠に許されることがないのだ、と。 #twnovel
5月3日
遊園地に行きたいと急にいう。いつにしようかと聞けば、途端に泣き崩れる。何事か、と、問えば、行ったことがない、という。そういえばデートでも行ったことはない。結婚して数ヶ月。一緒にあちこち行こうと云えば、彼女は泣きながら頷き、そっと、子供ができたと教えてくれた。 #twnovel
5月4日
かかってきた電話に驚く。思わず取り落としそうになりながらも、聞こえる声に間違いないのだと、慌てて握りなおす。どうしよう、とそればかりが浮かぶけど深呼吸する。電話口では、心配そうな彼の声。だから、必死で答える。声が聞けて嬉しい、と。告げた言葉はかすれて震えた。 #twnovel
5月5日
「じゃあ、君はなんで書くのさ」ノートから目を上げて、睨みつけるようにこちらを見てくる彼女に、やっとこちらに目を向けてくれたと嬉しくなる。本が好きで小説を書くのが好きで、同じような場所にいてけれど、僕を見てくれなかった君。「好きだから、だよ」ただ、それだけなんだ。 #twnovel
5月6日
月が満ちた日、すべてが始まるのだとセーラー服の彼女は笑っていた。夢物語のようなそれを、笑い飛ばして彼女を妻とし生きてきた日々。満月のたびに空を見上げる君に、かぐや姫かと笑いかければ、哀しい笑みを浮かべるばかりで。――満月を見上げながら、消えた彼女を想う夜。 #twnovel
5月7日
#twnovel 焚き染められた香がふわりと御簾の向こうから漂う。衣擦れの音と共にその人の存在が思われて、御簾のうちに踏み入りたい思いを押しこめる。「余りにも冷たい。せめてお声だけでも」許されぬと知りながらも止められぬ思いを隔てるのは、目の前の御簾のみ。踏み出せば、破滅への道。
5月8日
#twnovel あの人は私を想い、この人はあの人を想う。私はかの人を想い、かの人はこの人を想う。複雑に絡み合う恋心は、解くことが出来ないほどもつれてしまった。縦糸横糸、綺麗に並んでさえいれば美しい織物にも例えられただろうに。ここにあるのは複雑な悲しみと醜い嫉妬の織り模様だけ。
5月9日
#twnovel 自転車で必死に上り坂を登る。待ち合わせ場所まであと少し。登り切ったところで彼女が待っている。怒ってるだろうか。呆れてるだろうか。時間はもう、過ぎていて。ただ僕は、必死に自転車をこぐしかない。後少し。後少し。坂を登り切って、見えてきたのは赤い屋根の家。そして――。
5月10日
#twnovel 吹く風が心地よい。となりで、うん、と背伸びをした彼女の髪が、風にゆれて青空に白いワンピースが映える。「もうすぐ、夏がくるね」「でも、その前に梅雨だよ」彼女が笑う。「雨も素敵。長靴と傘。雨にぬれるのも、楽しいじゃない」弾むような声が愛しく思えたある初夏の思い出。
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