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[掌編]賽はふられた!(異世界トリップもの)

2012.01.12 Thu [Edit]
かららん、ころろん、と、澄んだ音が響く。
かららん、ころろん、と、何度も何度も。

音に誘われるように、混濁していた意識が、ふわり、ふわりと浮上する。

かららん、ころろん。

かららん、ころろん。

かららん、ころろん。

何度も何度も、音が響くたびに、拡散していた意識が、じわりと集まっていく。

かららん、ころろん。
かららん、ころろん。

そして、次第に形作られていく何か。それが何かはわからないけれど、音が響くたびにそれは進んでいく。――そして。


ふわりふわりと浮上していく意識そのままに、ゆっくりとまぶたを開く。


そこには、森がありました。

……どういうこと?





呆然としつつも、ゆっくりと体を起こす。見えるのは緑の葉がつやつやと美しい木々。周囲を見渡せば360度囲まれている。どうやら木漏れ日があるらしく、上方から光を感じる。……どこだ、ここ。いったい、どこなんだ。

記憶をたどってみる。たしか、授業を終えて、学校から帰っていた途中だったはず。見れば、服装はいつもどおりの高校の制服、ブレザーにブラウスにボックススカート、ハイソックスだ。ニーソではない。そこまで足に自信はない。じゃなくて、あとはローファー。学校指定の靴。そして、手には武器の学生カバン。……ん? 武器? 自分の脳裏に浮かんだ言葉に疑問を覚えつつ、立ち上がる。ぱんぱん、と、スカートの土を払ってから、カバンを握りしめてみる。いつもより手になじむ気がする。なんとなく。手に持ったカバンを振り回す。ぶんぶん、ぶんぶん。うん、なんか楽しいぞ。勢いに乗って、ついでとばかりに、そばにあった木をカバンで叩いてみる。

かららん。ころろん。

一瞬、目覚める前に聞いていた音が聞こえたような気がして、え? と思った次の瞬間。がこん! という音共に木がへしおれていた。

……私、普通の女子高生のつもりだったんだけど、どうしてこうなった。

しばらく呆然としてしまったけれど、このままじゃどうしようもない、と、とにかく森を抜けることにした。とりあえず、カバンが武器になるとわかっただけでも、ラッキーだ。といっても、四方が木々に囲まれている。はたしてどっちにいけばいいのかな、と、悩みつつ、森をみつめる。――すると。

かららん、ころろん。

また、あの音。不思議に思いつつも、なんとなくこっち、と思う方向に進んでいく。やがて、分かれ道。また、音。かららん、ころろん。そして、勘のままに選び進んでいく。更に進んでいくうちに、なんとなく理解した。私が何かを決めようとすると、あの音が聞こえるみたいだ。何かが転がる音。それも2つくらい。かららん、ころろんという音。ちょっとうっとおしいけれど、このままだと日がくれてしまう。とりあえず音の正体は後回しにして、とにかく歩く。あるく、あるく……あのさ、現代の極普通の女子高生が、そんなに長い距離を歩ける体力なんてないとおもいませんか。

というわけで、思った以上に歩けず、息切れ、足の痛み、むしろ軽くふくろはぎがつりはじめて、足を止めた。どうしようもなくて、これ以上歩けない、と、座り込む。体操座りをして、膝に顔を埋める。どうしよう。どうしてこうなった。ぐるぐる回る思いと恐怖と寂しさと、いろんな感情がごちゃまぜで、でももう何も考えたくなくて、周囲なんてみたくなくて、目をつむり耳を塞いでうつむく。ああ。なのに。

かららん、ころろん。

かららん、ころろん。

耳を塞いでいるのに、聞こえる音。ある一定時間ごとにかららん、ころろん、と、音がする。もうもう、なんなのよこれは、なんなのよ! と、泣きそうになりながらより一層ぎゅ、っと耳を塞ぎ、うずくまる。――どれくらいの時間がたっただろう、何度目かのその音の後、ふ、と、目の前に影がさした。

――なに? なんなの?

伺うように顔をあげたら、人が目の前にいた。なんといえばいいか、ぞろっとした衣装をきた、なんだか神官?みたいな雰囲気の人。手には杖をもち額飾りに金の長い髪、すでに周囲は薄暗いから眼の色はわからないけれど、割りと暗めの色っぽい。それに結構な美形。こちらを見極めようとするかのように、じっと見つめてくる。なにこのひと、と、座ったまま後ずされば、再び、音。

かららん、ころろん。

と、その目の前の美形の人、ふわりと微笑んだ。まるで、愛しい物を見るかのように。――初対面だよねそんな風にみえたのは気のせいだよね、と、思いつつ、見つめ返す。

「ようこそ、スィーダ神の作りし我等が世界へ、異世界からの客人よ」

……突っ込みどころ満載ですが、どこから突っ込めばいいですか? 呆然と見つめれば、ますます嬉しそうに微笑む美形さん。


――どうやら異世界トリップしたらしい、と、悲鳴をあげてしまうまで、あと少し。


更に、聞こえていた音が私の行動や交渉の成功失敗や、何に遭遇するかや対人からの印象がどうだったかを決めるために神様がふっているサイコロの音だとわかるのは、この世界に順応し、大失敗(ファンブル)したり大成功(クリティカル)したり何故か神官がストーカー化しかけたりした、あとのこと、だった。


おしまい。


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