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4.やめろ思い出させるな!

2011.12.25 Sun [Edit]
「うー、くらくらするー」

ベッドの上で唸っていると、手渡した体温計を見た母さんが、呆れたように首を振る。

「そりゃそうでしょ、この熱でなんともなかったら、ソッチの方がへんよ。一応、寝てなさい。インフルじゃなくってよかったわよ」

朝一番に病院にいって、思ったよりも待たずに済んで、とりあえずインフルではないとのお墨付きをもらったから、あとはねてるしかないわね、と、かあさんが笑う。

「ええー……」

くらくらする頭を抱えて、ひとごとだとおもって、と、内心ぶうぶう文句を言う。内心だけ。言葉を出すのもちょっときつい。すでに少し喉に来てる。せきが出るのかなぁ、でるんだろうなぁと思うと、なんだかすごく憂鬱だった。

「文句言わない。さ、寝てなさい」

ぽんぽん、と、布団を着せかけられて、サラリと髪をなでられた。小さな子どもになったみたいで、なんだか恥ずかしいけれど、ぐるぐる目が回るし、すごく眠い気がするし、で、そのぽんぽんと叩く手の動きに誘われるまま、眠りに落ちていく。

――せっかく、着替えまで貸してくれたのになぁ。

そんな風にぽよん、と、意識に言葉が浮かんで、消えていった。




とどのつまりは、冬の雨にうたれたからだは、見事に冷え切っていて、気合でカバーできない勢いで、風邪を引きこんでしまったようで。当たり前のようにかあさんには学校欠席の連絡を入れられて、携帯でせめて友達にメールを、と思ったけど、携帯も取り上げられた。寝てなさい、っていう母さんの目がさんかくだったから、取り返すのは諦めて、布団に入った。ねむれないよう、なんておもってたけど、人間、体の具合が悪いと寝るようにできてるみたいで。本当に具合悪い時って、寝て回復しようとするんだなぁ体は、なんて、ふわりと意識が浮かび上がり、目覚めたときにおもったり、した。

その後も、起きたり寝たりを繰り返して、お昼にかあさんが用意してくれた雑炊を少しだけ食べて、薬を飲んで、またうつらうつらして、一度着替えさせられて、またうつらうつらして、と、ずっとその繰り返しだった。夢をみたようなきもするけれど、それがどんな夢だったかは思い出せない。悪夢だったような気もするし、すごく幸せな夢だった気もする。そして、彼が出てきたような気がするけど、気のせいだろうか。

ぼんやりと目を開く。かち、こち、と時計の音。外を通る車の音に、暖房の音と加湿器の音。少しすっきりする精油が落とされてるのか、良い香りがする。すん、と、一度香りを吸い込んで、それから深く息を吐き出した。

少しだけ楽になったような気もする、けど、油断は禁物。楽だからって動くと、あとからきつくなるよね、なんて思いつつも、軽く布団の中で伸びをする。うん、少し楽。よくねたのが良かったみたい。ふう、と、時計を見る。もう夕方だ。そのうち晩御飯だろう。お腹はあまりすかないけど、食べないと、と思ってると、下の部屋からかあさんの笑い声が聞こえた。

ん、誰かきてるのかな? と、耳を済ませる。だんだんと近くなる母さんの話し声、そして――え、なんで? なんで彼の声が聴こえるの? 一瞬でパニックになり、どうしようどうしようとオロオロする。だって、そんなに親しくないよね、お見舞いとか、お見舞いとか、どうしよう? と、パニックになっているうちに、部屋の前に母さんがきた気配。とんとん、と、ノックの音が聞こえて、慌てて寝たふりをする。どきん、どきんと、心臓がなる。扉が開いて、かあさんと、その後ろから一人、彼の姿。

「あら……まだ寝てるのかしら。どうしましょう」

「いえ、手紙持ってきただけだし、いや、ですし、帰ります」

「まあまあ、いいじゃない。ちょっとだけまってて、お茶だけ持ってくるわ」

そういうとかあさんは、どうやらぐいっと彼を部屋に入れたらしい。かあさん、まってまって! 娘の部屋! 年頃の娘の部屋だから! と内心思いつつも、寝たふりしてるから声に出せなくて、見えない所で気付かれないようにぎゅうっと布団をつかむ。

彼はしばらく、入り口で困ってたみたいだけど、そのうちゆっくり部屋の中にはいってきた。6畳ひとまの部屋は、机とタンスと、棚、真ん中に小さなローテーブルに、あとはベッドでもう一杯いっぱい。そんなに広くないから、彼はローテーブルの方に近づいて、それから、一瞬躊躇した様子で、ベッドの方へと近づいてきた。

どきん、どきん、と、心臓がなる。壊れそうな心臓をなだめつつじっとしてると、ベッドの横に彼が立つ。なに、なんなの、と思ってると、すっと額に冷たいものが触れた。びくっ、と、思わず反応してしまうと、彼のその手が勢い良く引っ込められた。ああああっ、バレた! と、慌てて目を開けると、目を見張りこちらを見る彼。

「……お、おはようございます」

「っ、おま、寝たふりかよ!」

そう叫ぶ彼に、あうあうあう、と、誤魔化すように口をぱくぱくさせ、少し彼がベッドから離れたから、急いで上半身を起こしながら、叫び返す。

「だ、だいじょうぶ! ベッドの下に何も隠してないから、見られて困るものはないし!」

「おまっ、やめろっ! 思い出させんなよ!」

うがぁぁ、と頭を抱えて唸る彼に、改めて自分の言った言葉を省みて、同じようにうわぁぁと頭を抱える。

「……あんたたち、なにやってんの?」

お茶を手に戻ってきたかあさんが、呆れたようにそう突っ込むまで、二人して同じ格好をしてたんだから、うん、我ながらどうなんだろうって思った。

ちゃんと上着を着て、と私に細々言いつけたかあさんは、お茶を彼に進めるとおほほほほと奇妙な笑いを残して去っていく。なんなんだ、なんなのよかあさん、と思いつつ、二人になった部屋では、しん、と沈黙が落ちて。どうしようどうしようっておもってたら、彼が、ぐい、と、何かの書類を差し出した。

「な、なに?」

うろたえつつ受け取れば、なにやら今日の課題やら連絡事項のメモ。え、と驚いて見返せば、更にぐいっと紙の束を渡される。

「これは、今日の分のノート。べ、別に俺が用意したんじゃねぇかんな! お前の友達が、用意してたやつだし!」

うん、いつもなら友達が用意して、持ってきてくれるか学校行ったときにくれるやつだ。でも、それをなぜ彼が? クエスチョンマークを浮かべているのに気づいたのか、彼はむうと不機嫌そうな表情になり、視線をそっぽに向けながら、ぼそぼそとつぶやいた。

「昨日の今日で、休んでたから、ちょ、ちょっと心配になっただけだっつーの。悪いかよ」

うわぁ、と、恥ずかしくなる。だけど、なんだかすごくうれしくて。首を何度もブンブン振った。

「ううん! 嬉しい! ありがとう!」

「……おう。ってか、お前まだ熱あんだから、そんな頭ふってんなよ。寝ろよ」

ぶっきらぼうにそういいながら、照れたように頬をかく彼が、なんだか可愛く見えて。嬉しくて笑ったら、彼は、困ったように、だけど、不機嫌そうだけどどこかつられるように笑ってくれた。

嬉しかった。誰かに心配してもらえることが。――それが、彼だったからなのか、それとも、誰でもよかったのか、なんて、難しいことは、まだわからなくって。

恋とか好きとか、嫌いとか。そんな気持ちの分類なんかも、まだわからなくて。ただ、なんとなく、彼のことが慕わしい、そんな気持ちでふわふわしていた、中学時代の思い出。

――遠い遠い、淡い、暖かな、思い出のお話。



-------8×-------- 8× -------- キリトリセン --------8×-------- 8×--

サイト名:確かに恋だった
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「慣れてない彼のセリフ5題」より

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