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2.そういうことは早く言えよ!

2011.12.23 Fri [Edit]
「うー、さむいーていうか、ひどいー」

恨みがましい目で、空を眺める。曇りっていったのに、こうすいかくりつ10%っていったのに、少しなら走ってかえったのに、ここまで小ぶりのなか走ってたどり着いたのに、どうしてどうして、今、こんなにざあざあ降りだすの。本降りっていうのかな、それになってから急いではしって、このタバコ屋さんの軒下に走りこんだけど、かなり濡れたから、すごく寒い。いっそ雪なら駆け抜けられる気がするのに、雨だし。どうしてくれよう、と、恨みがましくじっとりと、空を眺めた。だからって、雨が止むわけなんて、なかったけれど。

「……なにしてんの」

呆れたような、ぶっきらぼうな声が聞こえて、弾けるように顔を上げる。そこには黒い傘をさして、こちらをじぃっと見つめる、彼の姿。ああ、あの誕生日の夜以来だなぁ、と、ぼんやり見つめていれば、不機嫌そうにまゆを寄せた彼が、傘をこちらに差し出してくる。

「え?」

「傘。ないんだろ。ほら」

でも、その傘がないと彼が濡れるんじゃないだろうか。そう思って躊躇していれば、手を掴まれてぐいっと無理やり持たせようとされた。

えええ、と、慌てて手を引こうとしたら、彼が、更に不機嫌そうにまゆを寄せて、こちらを睨みつけてくる。

な、なに、なにか私したっけ? 

「……っ、くしゅん!」




その瞬間、くしゃみが出て、一気に背中に悪寒が走る。ぞぞぞぞーって、ああ、これはまずいなぁと思ってたら、もんのすごく不機嫌です! っていう顔をした彼が、睨みつける目のまま、声をかけてきた。

「お前、いつからここにいんの。てか、かなり濡れてないか?」

「え、と、本降りになってからここに駆け込んだから、濡れてるかも?」

へらり、と、誤魔化すように笑ったら、くわっと彼の形相が変わる。うわ、と身を引くまもなく。

「そういうことは早く言えよ! こい!」

ぐい、とつかんだままだった手を引かれて、彼の傘の中へ。そしてそのまま、ぐいぐい手を引いて彼はどこかへ向かっていく。

「え、え、ね、ねぇ、どこいくの?」

必死についていきながらも、問いかければ、一度こちらをちらりと見た彼が、つい、と視線をそっぽに向けて、ぼそりとつぶやいた。

「おれんち」

「え、いいよ、走って帰るし! そしたらすぐだし!」

「馬鹿か。お前、風邪ひきかけてんだろ。それに俺んちのが近い」

確かに、彼の家のほうが近い、けど、いきなりそんな風に訪問するほど、最近は親しくしてない。それに、まだ冬休み中だとはいえ、誰かに見られてしまったら、と、思うと、なんだか怖いような気もして、びくびくと周囲を見回してしまう。と、ぼす、と、何かを被せられた。何かと思ったら、彼がかぶっていた帽子で。慌てて見あげれば、ぐい、と、顔を隠すように目深に被せられる。

「見られたく、ないんだろ。かぶっとけ」

でも、それだと彼だけからかわれるんじゃないだろうか、とか、ぐるぐる、ぐるぐる、いろんなことが頭の中をめぐって、でも言葉にできなくて、なんで、とか、どうして、とか、ぐるぐる、ぐるぐる考えているうちに、もう彼の家で。ただいまー、なんてどこかぶっきらぼうに告げる彼の声に、被さるようにおばさんの声。久しぶりだなぁと思ってたら、出てきたおばさんが、こちらをみて目をまんまるにして、それからやさしく笑ってくれて。

「あらあら、久しぶりねぇ。小学生の時いらいじゃなぁい?」

にこにこ、そんな風にいうから、慌てて頭を下げて。

「かあさん、コイツ雨にぬれてたから、とりあえず連れてきた。冷え切ってる」

「まあ、じゃ、あなたタオルとっきてあげるから、部屋に暖房入れてあげなさい。何か合いそうな着替えあったかしら」

そういいながら、踵を返すおばさんに、慌てる。

「あ、あ、あの、お構いなく!」

くるりと振り返ったおばさんは、おかしそうに笑って。

「はいはい、お構いはしませんけど、風邪は引いたらいけないからね。さっさと部屋にいってなさい」

そういって、急いで歩いていった。呆然と見送っていると、こっち、と、彼。先にたって歩いて行くから、そのまま玄関にいるわけにもいかなくって、慌てて追いかける。彼の部屋に入るのは、初めてじゃない。小学生の頃は、時々、近所の子達で集まって遊んでた。でも、だんだんそれもなくなって、高学年になってからは、ほとんどこなくなって、中学になったら近くによることもなくなった。初めてじゃない部屋のはずなのに、なんだか、妙にどきどきして、彼の後を追いかけた。その背中が、なんだか知ってた彼じゃないみたいで、ぐるぐる回る気持ちのまま、ぼんやりと、階段を登って彼の部屋に向かっていった。

部屋についた彼に、ん、と促されて、おずおずと部屋に入る。ベッドと机と、タンス、思ったより散らかってない部屋のなか、思わずきょろきょろと見回す。なんだか、少し、モノが減ってる気がする。もっとおもちゃとかころがってたのに、それがない。その代わりに、雑誌とゲーム機が、ベッドの上に転がってる。きょろきょろしてたら、彼が手早く暖房を入れてくれて、一気に温かい風が部屋に満ちてくる。
外からおばさんの呼ぶ声がして、彼が顔をのぞかせれば、バスタオルを渡されて。何やらもぞもぞとおばさんにいわれた彼は、むっとまゆを寄せて、あっち行けって感じで、おばさんに手を振ってた。

「ほら、これ。んで、んー、そこすわれよ」

バスタオルを渡されて、それから、小さなテーブルの前の、クッションみたいなのをおいたとこを勧められる。おずおずと座れば、彼は勉強机の椅子に腰掛ける。とりあえず、ごしごしと頭と顔を拭いて。手を拭いて。どうしようかな、と、思ってたら再びノック。ばっ、と顔を上げると、彼が急いで扉を開けて、またおばさんと何か話してて、どうしたらいいのかなとかおろおろしてたら、もうこれ以上ないほど不機嫌です! って顔をした彼が、着替えの服と、ビニール袋を渡してくれた。

「これ、着ろって。きっちり拭いて、着替えとけ。あー、俺、部屋でとくから」

そういって、着替えを渡して、すぐに部屋をでていこうとするから。

「あ、あの、迷惑かけてごめんっ」

迷惑ばっかで、不機嫌な顔させてるんだろうと思って、急いでそういったら。彼の顔が更に不機嫌そうになって。

「迷惑なんかじゃねーよ! ばーか!」

そういって、ぷい、と視線をそらせてそのまま部屋から出ていった。その耳が、なんだか赤くみえた気がしたんだけど、気のせいだろうか。

どうしよう、迷惑かもだけど、不機嫌そうだけど、なんだか、優しくされて嬉しい、なんて、思う自分もいて、なんだか、どきどきして、苦しいようなうれしいような、この気持ち、なんなんだろう。恥ずかしくて照れくさいような気持ちがたまらなくて、思わず渡されたバスタオルにぎゅっと顔を押し付けながら、深く深く、ため息を着いた。

部屋は、彼のにおいがするような、きがした。





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