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5.今後に期待、しています

2011.11.27 Sun [Edit]
ずっと憧れていた。
それが本当の恋なのか錯覚なのか、なんて、どうでもよかった。

ただ、彼しか見えなかった。

ずっと、ずっと。
ただ彼だけを、見つめ続けてきた。

ただ、それだけだった。



心臓が、破裂しそうだ。

回された腕から伝わってくる温もり、とか。
頬に触れる胸元の堅さ、だとか。

ふわりとかおる、彼の香り、だとか。

くらくらとめまいがする。呼吸がおぼつかない。幸せで、嬉しくてうれしくて――悲しくて。
このままじゃいけない、と、ぐっと体を離そうとした。

けれど。

逆に強く抱きしめられて、私はただ混乱する。どうして? どうして? なんで?

ゆらゆら、ぐらぐら、心が期待する。ダメだってわかってても、でも、期待してしまう。

――酷い。ひどいよ、お兄ちゃん。

あまりに苦しくて、ぼろり、と、涙が零れ落ちた。




「……っ、ないて、るんですか」

鼻を小さくすすった音に気付いたのか、戸惑うように声が聞こえて、少し腕が緩む。
その隙に少しだけ離れて、覗き込んで来ようとする彼の顔を避けるように、顔をうつむける。

「なかないで、ください」

再び伸ばされる手。思わず後ずされば、息をのむ音がして。

ひっく、と、一つ、呼吸代わりに泣いてから。

「ひどいよ、おにいちゃん……」

声は、酷くかすれていた。湧き上がる想いと悲しさと、ずきずきする胸が、つらくて哀しくて。我慢できなくて。私は叫んでいた。

「ひどいよ、どうして、どうして、優しくするのよ。恋愛ごっこって、子供って……いったじゃない! 私なんか、邪魔なんでしょう?! だったら、優しくしないでよ! 構わないでよ、お兄ちゃんの、お兄ちゃんの……っ、ばかぁ! お兄ちゃんなんて、だいき……っ」

最後まで言えなかった。再び、私は暖かな腕の中にさらわれていて。強く強く、抱きしめられて、息が詰まる。
どうして、どうして。それしか言葉が浮かばない。ぐるぐるぐるぐる、嬉しい幸せと悲しいと、もう、感情がごちゃまぜで、どうしていいかわからなくて。――ぎゅ、と、お兄ちゃんのシャツの胸元をつかむ。


「……すみません」

抱きしめる手は緩まないまま、耳元で声が聞こえる。吐息。震える声。くすぐったくて身をよじれば、しっかりとホールドしたまま、しかし顔を見られるくらいの余裕が生まれる。深呼吸。苦しかった。ふわり、とお兄ちゃんの香り。ずきんと胸が痛む。苦しくて、顔があげられない。

「なにを、あやまってるの。離して、もう、迷惑かけない、から」

震える唇を叱咤して、必死で言葉を紡ぐ。

「違うんです。あんないい方して……すみません」

声には、苦渋があふれていて。苦しそうで。はじかれるように顔を上げれば、悲壮な表情をした、彼の顔がそこにあって。

「ちがう、って……」

茫然と見上げれば、深くため息をつく彼。そして、彼はギュッと強く目を閉ざす。

「……今、何歳ですか」

「え……と、16、だけど」

今更なにを、と、首をかしげる。とたん、瞼を開いた彼は、強く眉を寄せて。

「そう、あなたはまだ16なんですよ。――まだ、いろいろと、大人としては、対応に困る年齢なのです」

ぽかん、と、してしまう。

「え、でも、結婚できる年だよ」

「確かに、法律上はそうですね。しかし、条例上だと……その」

視線がすい、と、そらされる。

青少年保護条例、だったっけ? うろ覚えのその文字がぽん、と、浮かぶ。

何がいいたいんだろう、わからなくて、じっと見つめれば。

うろうろとさまよわせていた視線が、やがて諦めたようにこちらに定められて。

「つまり、あと2年。せめて高校卒業するまで、と、思っていたのですよ」

「……え?」

「小さいころから、まっすぐ自分に向かってきてくれる子がいて、その子が次第に女らしく成長していく。――それに魅了されない男がいると思いますか? ずっと、まっすぐに向けられる感情がくすぐったくて心地よくて、愛しくて――だけど、だからこそ、いい加減なことをしたくなかった」

なに。何をいってるの? 彼が言ってる言葉は、わかるのに、理解できない。
頭が真っ白で、茫然と見返してしまう。

「せめて、高校を卒業してから。それから、一緒に、はぐくんでいければ、と、思っていたんですよ。ゆっくりと、大切に、心と、思いを。――大切だから、愛しいから、ずっと、ずっと、そう、思っていたっていうのに」

「……お、にいちゃ、ん」

ふう、と、彼はため息をついて。それから、私の大好きな笑顔を浮かべて。

「好きですよ。大好きです。――だから、誰にも触れさせないで。僕のものでいてください」

ゆっくりと、大好きなお兄ちゃんの大きな手が、髪を撫でる。茫然とした私の頭に、言葉がじわ、じわとしみこんでくる。ゆっくりと、顔が熱くなってくる。うそ、うそだ。でも、目の前で彼が優しく微笑んでいて。その目が、とろりと甘い熱をはらんで、いて。

「……すき」

零れ落ちた言葉に、彼の顔がさらに笑顔になって。

嬉しくて、嬉しくて。
――気が付けば、私は、大きな声でないていた。
小さな小さな子供のように。彼に遊んでもらっていた、小さなころのように。
彼は、ただ、静かに、静かに、抱きしめて撫でてくれていた。



「……相変わらずの、泣き虫、ですね」

落ち着いた私に、彼がいう。

「そ、そんなことないもん。泣かせたのお兄ちゃんだし! それに普段めったに泣かないし!」

「そうなんですか? でも、僕はいつも泣いてるところを見てる気がしますよ」

「き、気のせいだし!」

「それから……」

「な、何?」

「お兄ちゃん、は、いい加減なしにしませんか?」

「っ、な、な?」

「名前で呼んでください。ね?」

「あ、う……鋭意努力します!」

くすくすと、笑って。彼は。

「今後に期待、しています」

そっと、耳元に囁いた。



ずっと憧れていた。
それが本当の恋なのか錯覚なのか、なんて、どうでもよかった。

ただ、彼しか見えなかった。

だから――。

恋かどうかなんて、関係ない。

そこにあるのは、きっと、愛なのだから。

Fin

-------8×-------- 8× -------- キリトリセン --------8×-------- 8×--

サイト名:確かに恋だった
管理人:ノラ
URL:http://have-a.chew.jp/
携帯:http://85.xmbs.jp/utis/


「年上の彼のセリフ(1)」より

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