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2011.11.13 Sun [Edit]
「……嫌いじゃないのよね」

ぱちり、と、暖炉の薪がはぜる。

視線が向けられるのを感じて、ふっと微笑んだ。

「嫌いだ嫌いだと思ってたんだけど、嫌いなわけじゃないみたい」

そっと視線を窓へと向ける。濡れる木々の葉。地面の草も濡れて光る。

「嫌いなんじゃなくって……さみしいのかも、ね」

その感想が正しいのかはわからないけれど。

ふと、そんな風に思えて。

それ以上は言葉にならなくて。ジワリと湧き上がる感情に、目を伏せた。

静かな、静かな部屋。
かすかに聞こえるのは、窓の外の音ばかり。


再び、ぱきり、と、薪がはぜる音が、して。



「……どうしたの?」

ふっと、気が付けば。
少し離れてたところにいたはずの気配が、すぐそばまできていて。
隣に腰かけたところで、少し目線の高い位置へと、視線を向ければ。

そっとのびる指先。
少しごつごつした、大きな手のひら。
そのくせ、優しくほほをたどる指の動きに、思わず目を閉じる。

柔らかな、熱。

触れる、温もり。

まるで確かめるように、たどるその指先の動き。
ほほから、首へ。そしてそろりと、唇をなぞって。

そのままゆるりと髪をなでる手の動きに、唇だけでほほえんだ。

そっと開いた瞼の向こう。

窓の向こうでは、まだ、雨が降り続いていた。

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