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[掌編]混ぜると危険!? な恋愛ゲーム

2013.04.30 Tue [Edit]
Cat butler
Cat butler / tanakawho


夢をみた。
夢の中で私は、長テーブルの前におかれた椅子に座っていた。
向かいには、数名の人影。
人影があるのはわかるのに、なぜかあたりが白んでいて、そこに何人の人がいるのか、どんな格好をしているのか、どんな顔なのか、が、全く分からない。

わからないけれど、一つだけわかることがある。

これは面接だな、と、いうこと。

何かの面接を、私は受けているようだ。

質問を投げられ、名前に趣味に、好きなもの嫌いなもの、多少突っ込んだ嗜好について、と、次々に投げられる質問に、一つずつ答えていく。

やがて、最後の質問です、と、投げられた言葉に、私は、笑顔で答えた。

私の、最大の萌えと、愛を集約した、大好きな存在のことを。





さて。
私は、執事が好きだ。
どうして、と言われても困るのだが、子供の頃に、何かの物語の脇役として登場したその存在を知った時から、大きくなったら執事を雇うんだ! と、夢を抱いていた。

小学校の作文で、大きくなったら執事さんを雇いたいと思います、と、書いて、それを先生も何を考えたか発表させたせいで、授業参観で母親が、頭を抱えたのは、懐かしい思い出である。

うん、かあちゃんごめん。今思えばすんごいイタイってわかるよ。

さすがに高学年になると、何やらやばいと気づいて口には出さなくなったが、今度はコミックスやアニメなどにこそこそと手を出す様になって、中学、高校と、こっそりと隠れて執事が登場するありとあらゆるサブカルチャーや文芸作品その他もろもろを網羅していったのは、我ながらすごい執念だと思う。

執事と一言でいっても、いろんな種類があるのだと知った、お年頃の頃。
そもそも執事じゃないのか、とか、知るたびに目からうろこぽろぽろだったけれども、それはそれ、これはこれ。
萌えは萌えよ、と、突き進んだ学生時代。

大学では、いかにして研究を隠れ蓑に、深く執事に萌えるか、という謎の命題を胸に、進路を選択。

さて、受験期だ、と、執事成分過多なゲームや本を封印し、勉強にいそしんでいた私、だったのだけれども。


こんな夢をみるなんて、推薦試験の面接のことがそれほど気になっているのか、しかし、私は推薦受けるかどうかまだ決まってないんだけどなぁ、と、のんきに思っていたのだけれど。

それどころじゃ、なかったみたいで。

目の前の人影が、頷く気配がして、そして、採用です! と声が聞こえて。

あれ、私、バイトの面接の夢でもみてるの? と、首を傾げつつ、ありがとうございます! と答えたならば。

それでは、いってらっしゃい! 良きゲームライフを!

そんな声と共に、どかん、と、足元の床が割れて、私は、一気にどこかへ落とされたのだった。

え、どういうこと?!


さて、結果から言えば、私は落ちる途中で意識を失った。もう二度と、こんな経験したくないので、恐らく私は、バンジージャンプもスカイダイビングも、下手をするとフリーフォールも乗れないだろう。
いや、そんなことはどうでもいい。

目が覚めたら、天蓋が見えた。ゆっくりと瞬いて視線を周りに向ければ、薄い紗の天蓋が、周囲を囲っていた。
ゆっくりと体を起こせば、自分がベッドの上に寝ていたとわかる。なんと、すごくいい手触りのシーツだ。思わずなでなでと数度撫でてしまった。

これは、まるで、お嬢様が寝るようなベッドじゃないか。

そう、執事ものでお嬢様が出てくる物語では、こういうベッドに姫は寝てるのだ。

そういえば、あの人影たちは、どういう生活がしたいのか、とか、聞いていたような気がする。

それに、最後、たしか、ゲームライフっていったような。

まさか、と、思いつつ、ゆっくりと周囲を見渡せば、ベッドは結構大きく、その向こう、うっすらと透けて見える部屋は、かなり広いことがわかる。

いったいどういうことだろう。

と、そこにノックが響く。

いい音のノックだな、と、思いつつ、どういうこと、と扉を凝視すれば、やがてゆっくりと重厚そうな扉が開く。

誰か来る? と、早くなる心音をなだめつつ、じっとそちらをみていると、いわゆるこれがイケメンボイスか! という声が、扉の影から聞こえる。

起きておられますか?

そっとかけられた声に、心音が早くなるのを感じつつ、何とか返事を返す。

その声にこたえて、失礼します、と、言葉が返り、やがて扉の向こうから、影が現れる。

私は、もしかして、ここは、いわゆる執事系恋愛ゲームの世界ではなかろうか、と、ドキドキしながら、その姿が現れるのを待っていた。


ここで、余談である。

私は、滑舌が悪い。
早口言葉が苦手だ。さしすせそ、はひふへほ、が、微妙に聞き取りにくい。

だいぶ克服はしたけれど、それでも、いまだに興奮すると、ものすごく聞き取り辛くなる、らしい。

そんな私が、興奮状態で「しつじ」と、発音すると、どうなるか。


「ああ、お目覚めになられて、何よりでございます」

扉が開き、姿を現した彼は、失礼します、と、声をかけ、そっと、天蓋の紗を開けた。

そして、上記の言葉を発したのだが、私は答えることができなかった。

「あの、どちらさま、ですか」

途切れ途切れに問いかける。いや、何この質問、と、思うけれど、どうしようもない。

その言葉に、穏やかに微笑んだらしい彼は、にこやかに告げる。

「お嬢様の選任執事にございます」


チェンジで! と、叫びださなかった私を、褒めてほしい。

執事、と名乗った彼は、それでどうやってものをつかむの? な、前足じゃないの? な手を、ふっかふかの羊毛に包まれた胸に当て、ゆっくりとそれはそれは素晴らしい所作でお辞儀をした。

もっふもふの、羊毛に包まれた、後ろ足でたち、ズボンをはいて、上半身は蝶ネクタイをした、もっふもふの、彼が、お辞儀をした。

それ、執事じゃない! ひつじ!

メリーさんのひつじ、が脳内で流れるのを止められぬまま、私は茫然と、その執事と名乗ったひつじを見つめる。

これ、なんてギャグ? しつじなひつじとか、ひつじのしつじとか、それどんな寒いジョーク?

呆然とする私に、心配そうに大丈夫ですか、と、声をかけてくるひつじ。無駄にイケメンボイスなひつじ。

大丈夫です、と、なんとか声を絞り出しながら、脳内BGMメリーさんのひつじのままで、私は考える。

え、ゲーム? ゲームライフ? ひつじなしつじ、じゃない、しつじなひつじと恋愛ゲーム? それどんなゲーム!?

考えようとしても混乱する頭のまま、パニックを起こした私は、そのままパタリ、と、倒れたらしい。

人影さん。私が好きなのは萌えるのは、執事です。羊と恋愛する勇気は、ありません。羊を飼う気はあれども、彼らとどうやって恋愛すればいいのですか。執事とひつじが分離していれば、どちらも愛でることができたのに!

混ぜるな危険、と、私は、失った意識の奥で、不本意なもふもふハーレムで、脂汗を流す夢を見て、うなされるのだった。


誰か、へるぷみー!!

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Theme:自作小説 | Genre:小説・文学 |
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